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4.内定者フォローにおける「留意点」

(1)トラブル防止に向けて

●内定の意思表明後、原則として「内定取り消し」はできない

イメージ内定は「口頭」ではなく、「採用内定通知書」で伝えるのが一般的である。また、それを受けて学生は「入社承諾書」や「入社誓約書」を提出する。これらの文書の“拘束力”は学生よりも企業に強く働くが、学生が自ら文書に記名、押印するという行為を通して、入社の意思を固める確率は高くなる。以下、内定時・内定後にトラブルとならないよう、内定出しにおけるポイントを整理する。

内定の通知
  • 採否は、できるだけ速やかに学生に伝えることが大切である。採用の意思を確認できなければ、自社を本命として考えている学生でも、多くの場合、他社を受験するようになるからだ。
  • 内定の伝え方には、「面談の中で伝える」「電話で伝える」「メールで伝える」「文書で伝える」などの方法がある。望ましいのは、「電話」「メール」や「口頭」でその意思を伝え、後に正式な「文書(採用内定通知書)」で伝えることだ。
採用決定の事務手続き
  • 内定は学生に「採用内定通知書」を渡し、「入社承諾書」や「入社誓約書」を提出させることによって成立する。必ずしも100%内定者を拘束できるものではないが、入社意思を確認することができ、歩留まりの向上が期待できる。
  • 内定通知後に内定を取り消した場合、その事実がネットなどを通じて広く知れ渡り、次年度以降の採用に影響が出ることもある。内定の意思を表明した後は、よほどのことがない限り、内定の取り消しができないと考えておくべきである。
  • 憲法第22条の「職業選択の自由」を理由に、学生が提出する「入社誓約書」には法的拘束力がないと解釈されており、労働基準法第16条でも、予め違約金を定めることや損害賠償の額を予定することを禁じている。
トラブル防止に向けて
  • 内定とは「入社することの予定、ないし決定」である。「採用予定」(内々定)の段階では、「雇用関係」は成立していないので問題となることは少ないが、「採用決定」(内定)段階となると「雇用関係」が成立するため、事は複雑になる。実際に雇用状態になくても、「始期(雇用が始まる時期)付解約留保権付雇用契約」が結ばれたとみなされる。具体的には、下記のような行為があれば、「採用決定」(内定された)との判断が下される。
    1)雇用する日付が明記された「採用通知」を送る
    2)「入社誓約書」などを提出させる
    3)入社を前提とした研修があるなど、採用を決定した「意思表示」を明確に行う
  • 上記のようなケースは「雇用契約」を結んだことになり、この後、一方的に契約を解除することは許されない。一方、「採用予定」(内々定)の段階であれば、例えば学生が「拘束を断った」ことを理由に内定を取り消しても、法律上は特に問題はない。

(2)「内定取り消し」が可能なケース

●内定取消しができる客観的に見て合理的な理由とは

イメージ内定後に内定を取り消すのには、正当な理由が必要になる。裁判所や行政当局では、「客観的に見て合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定取消しは無効とされる」という考え方を取っている。過去の裁判例では、内定取り消しがやむを得ないと正当化されるケースとして、以下のような理由が上げられている。これ以外の理由で、内定を取り消すことはできないと考えていいだろう。


1)雇用契約を締結するための条件が満たされなかった
・卒業できなかった(留年・落第)
・入社の際に必要と認められた免許・資格が取得できなかった
2)内定取り消しの理由が規定されていて、該当事項が発生した
・健康状態に異常が発見され、通常勤務の遂行が困難となった
・提出した書類(学業成績証明書、誓約書、健康診断書など)に嘘があった
3)その他の不適格事由が発生した
・犯罪を犯し、逮捕され、起訴された
4)その他
・企業の経営が、予想外の不振に陥った

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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