4.内定者フォローにおける「留意点」
(1)トラブル防止に向けて
●内定の意思表明後、原則として「内定取り消し」はできない
内定は「口頭」ではなく、「採用内定通知書」で伝えるのが一般的である。また、それを受けて学生は「入社承諾書」や「入社誓約書」を提出する。これらの文書の“拘束力”は学生よりも企業に強く働くが、学生が自ら文書に記名、押印するという行為を通して、入社の意思を固める確率は高くなる。以下、内定時・内定後にトラブルとならないよう、内定出しにおけるポイントを整理する。
内定の通知 |
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採用決定の事務手続き |
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トラブル防止に向けて |
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(2)「内定取り消し」が可能なケース
●内定取消しができる客観的に見て合理的な理由とは
内定後に内定を取り消すのには、正当な理由が必要になる。裁判所や行政当局では、「客観的に見て合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定取消しは無効とされる」という考え方を取っている。過去の裁判例では、内定取り消しがやむを得ないと正当化されるケースとして、以下のような理由が上げられている。これ以外の理由で、内定を取り消すことはできないと考えていいだろう。
- 1)雇用契約を締結するための条件が満たされなかった
- ・卒業できなかった(留年・落第)
- ・入社の際に必要と認められた免許・資格が取得できなかった
- 2)内定取り消しの理由が規定されていて、該当事項が発生した
- ・健康状態に異常が発見され、通常勤務の遂行が困難となった
- ・提出した書類(学業成績証明書、誓約書、健康診断書など)に嘘があった
- 3)その他の不適格事由が発生した
- ・犯罪を犯し、逮捕され、起訴された
- 4)その他
- ・企業の経営が、予想外の不振に陥った