5.今後の「課題と展開」
(1)採用戦略全体で内定者フォローを考える
●戦略的に内定者フォローを見直す
少子化が一段と進み、採用環境がよりいっそう厳しくなる中で、従来通りの内定者フォロー対応を続けていても、十分な効果は期待できない。内定者フォローの重要性と目的をあらためて認識し、厳しい環境下で内定者を入社へと導くための「戦略」を立てる時期に来ているのだ。そのためには、これまでの施策が内定者にどのような影響を与えているか(及ぼしているか)、何についての理解を促し、どんな気持ちにさせたいのか、といったことをイメージしてみる(内定者アンケートを行う)ことが有効だ。今一度、内定者の視点から、現行の内定者フォロー施策をチェックするのである。これからの時代、内定者フォロー施策の一つひとつが、自社の発展に欠かせない人材の獲得や定着において重要になることは間違いない。
●あらゆる機会を通じて学生に動機づけを行う
内定者フォローが重要であることは先述の通りだが、内定を出す前の対応も重要である。採用活動の初期の段階、つまり、会社説明会や採用選考において、学生にしっかりと入社への動機づけを行うのだ。学生は複数の会社を受験しているので、あらゆる機会を通じて動機づけを行っていかなければ、他社に気持ちが移ってしまう。このように考えると、採用活動のプロセスとは、応募者に対する動機づけを形成していく行為に他ならない。
(2)個別対応が重要な時代に
●内定者一人ひとりに語りかけていく
個別対応の重要性も増している。動機づけという意味では、内定者一人ひとりに対して、なぜ採用したのかを、説得力を持って語りかける必要がある。例えば、「こういう理由からあなたが必要で、入社後にはこんな経験をしてほしいと思っていて、こういった成果を期待している」といったメッセージに、学生は「自分は会社から期待されている。ぜひ、それに応えよう!」と強く思うようになる。これはまさに、会社に対するエンゲージメントが高まった第一歩と言えるだろう。そのためにも、採用担当者は一人ひとりに対して、異なる言葉、表現で伝えていく「術」を持つ必要がある。
メールで伝えるのもいいが、できれば内定をもらった時の喜びを強く記憶してもらうためには、学生に会社に出向いてもらい、役員から内定を通知した上で職場見学を行い、採用担当者や若手社員とランチを共にする、といった流れで行うとより効果が期待できるだろう。