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4.戦略的な内定者フォローの「実例」

●いかに内定辞退を防ぎ、入社に向けて動機づけを高めていくか

「ゆとり世代」の学生は、会社組織に対する依存心は強くなく、自分自身の意志を物事の判断軸として重視する傾向が強いと言われている。内定を得ても、内定先の企業が自分の志向・価値観に合うかどうかを常に考えている。そして、自分の志向・価値観に合う企業を他に見つけると、企業ブランドや待遇などにかかわらず、鞍替えする学生が少なくない。このような価値観を持っている学生に対しては、自社の事業(仕事)の特徴や強みを発信するだけでなく、その情報を学生自身がどのように受け止めているか、各自の志向・価値観に合っていると思っているかなど、一人ひとりの状況を見極めたきめ細かな対応が必要だ。

特に売り手市場となった現在では、学生たちをいかに動機づけ、入社まで導くか、採用の中核的なプロセスとして、内定者フォローを戦略的に行っていく姿勢が求められる。以下では、内定者フォロー策を戦略的に実施したことによって、内定辞退率を下げることに成功したケースを紹介する。

事例(1)内定者と年齢の近い「メンター」が相談相手に(ITサービスA社)

●採用担当者からメンターへ、内定者フォローのキーパーソンを変更

ITサービスA社では、これまで数人の採用担当者が内定者全員に対するフォローを行ってきた。しかし、売り手市場となったこの2~3年、内定辞退者が増えたため、内定者管理のあり方を根本的に変える必要があると判断。内定者と年齢の近い社員を「メンター」に任命し、入社前に悩みや不安を抱える内定者の相談相手になってもらった。つまり、内定者フォローのキーパーソンを、採用担当者からメンターへと大きく変更したのである。

メンターの選出に当たっては、以下の要件を定めた。

  • 入社3~5年目の社員である
  • 内定者と大学が同じである
  • 内定者と出身地が同じである
  • 内定者が希望する職種が同じである

上記の要件から、内定者と何かしら共通項のある社員をピックアップ。直属の上司を通して依頼し、本人の承諾を得た上で、メンターに任命した。若手社員をメンターとしたのは、内定者と世代が近くて話がしやすい、実体験に基づいて内定者をフォローできる、といったメリットがあると考えたため。人事側にとっても、メンターという相談役を通して、内定者からの悩みや近況を一元管理できるので、内定者を管理する上でメリットは大きい。

担当する内定者の人数は、一人のメンターに対して三人を基本としている。不安や悩みを抱える内定者の細かな状況を把握するには、この程度の人数がいいと判断したからだ。メンターとしての活動を始める前には、説明会を実施。今年度の新卒採用活動の状況や、メンターを設けた意味と期待する役割、内定者とコミュニケーションを取る際の留意点などをきめ細かく説明し、メンターになる社員に自覚を促した。

●社内SNSを活用し、情報の効率化・一元化を図る

A社では内定者フォローを行うに当たって、メンターと内定者との関係性の構築に一番の重点を置いている。社内SNSを活用し、コミュニケーションを質と量の両面で強化。「いいね!」やコメントを投稿できる仕組みを使って、ねぎらいや感謝を伝えることにより、コミュニケーションの充実を図った。内定者にとっては、それが大きなモチベーションとなる。また、メールや口頭ではなかなか相談しにくいことでも、社内SNSであれば気軽に投稿できるというメリットもある。

このように誰でも気軽にコメントできるSNSでは、感謝の気持ちや助け合いの精神が働きやすく、問題の解決も迅速に行われるようになる。また、仕事だけでなく、プライベートな話を交えながらいつでもコミュニケーションを取ることができる。採用担当者には直接言いにくい話、聞きにくい話などの相談もしやすい。FacebookやTwitterなど、SNSに慣れ親しんだ最近の学生にとっては、最適のツールと言えるだろう。こうした関係が一定期間続くことで、安心して頼れる兄弟姉妹のような親密な関係が構築される。内定者にとって、メンターの存在が4月から会社生活を送る際の“心のよりどころ”になっていくのである。

●内定辞退が起こる前に“兆候”を発見し、適切な対応ができるようになった

メンターには1ヵ月に1度、内定者からの近況報告や悩み・相談事を人事に報告する役割が課せられている。人事はその内容を確認し、メンター一人ひとりに対してフィードバックを行う。どのようにフォローすればいいのか、戸惑う若いメンターもいるからだ。このようなメンターに対するケアを行うのも、制度をうまく回していくためには必要不可欠である。

社内SNSで内定者フォローを行うことで、内定者とメンターのコミュニケーションの“見える化”が図られ、その結果、内定辞退が起こる前に“兆候”を発見し、適切な対応ができるようになった。内定者からも「自分と年齢が近く、頼れる存在としての先輩社員が入社までフォローしてくれるので、とても心強い」と大変評判がいい。

コストパフォーマンスのメリットも大きい。スタッフ数の限られている人事では、フェース・トゥ・フェースの内定者フォローを行うことに限界がある。一方、社内SNSは内定者とメンターはもちろん、人事にも負担が少ないシステムである。社内SNSを活用することで、人事は、一定の事務連絡や会社からの情報発信だけを行えばよくなり、内定者フォローでの効率化・一元化が図れる効果は、思いのほか大きい。実際、このシステムを活用した昨年度は、内定辞退者がいなかった。

事例(2)「内定者懇談会」を仕事への理解を深めた内容へと変更(外食B社)

●人事部が一括管理し、働くことへの意識付けを図る

イメージ近年の売り手市場にあって、労働環境が厳しいイメージの強い外食産業は、採用戦線で苦戦を強いられている。外食大手のB社でも、内定辞退がかなりの割合に上っていた。そのため、これまでの外食産業のイメージを振り払い、学生に正しく仕事を理解してもらうこと、やりがいを持ってもらうことが、採用活動における重要なテーマとなっていた。そこで、内定者からのアンケートを参考に、今まで実施してきた「内定者懇談会」の内容を一新。組織内のさまざまな立場の人と交流する機会を設けることで仕事に対するイメージを明確にし、働くことに対する意識づけを図ろうと考えた。

従来は関東や関西など、地区別の採用担当者が個別に随時行っていた内定者懇談会を、人事部が一括して管理・運営。内定者フォロー策の目的を明確にした上で、全社的な取り組みとして進めていった。その目的は、以下の3点である。

1.仕事への動機づけを図る 今までは内定辞退が多く、入社してもすぐに辞めてしまうケースが少なくなかった。また、近年の内定者の傾向として、職業観の希薄さ、社会性の欠如などを感じることが多く、内定者フォローの段階でこの問題を払しょくすることが第一だと考えた。そこで、内定者懇談会を通じて外食産業の仕事の意義に対する動機づけを行い、内定辞退を防ぐことにした。
2.仕事への理解を深める 採用担当者だけではなく内定者懇談会には、現場の社員はもちろん、役員や営業担当者、人事・教育担当者など全社員が参加し、業界の将来性を説明し、仕事に対する疑問や質問に丁寧に答えるようにした。さまざまな仕事の担当者と入社後に初めて知り合うのではなく、内定期間に相互理解と信頼を深め合う機会を設けることで、仕事への理解が深まる。すると、仕事へのやりがいが芽生え、内定辞退防止や定着にもつながっていく。
3.仲間意識を養う 地区別に採用活動を行っていたこともあり、これまでは全国の内定者が一堂に会することはなかったが、本社に内定者全員が集合して内定者懇談会を行うことで、互いに知り合い、親睦を深め、早くから仲間意識を持つことが可能になった。この効果は大きく、会社生活にスムーズに移行できるほか、この場で構築された同期の絆・ネットワークは、その後の会社生活において大きく生きていくことになる。

●内定者の声を聞き、「内定者懇談会」を企画

全国にいる内定者が一堂に会して内定者懇談会を実施するために、その内容をより実効性のあるものにする必要があった。そこで、「外食産業を選んだ理由」「その中で、なぜB社だったのか」をアンケート形式でヒアリング。自社の魅力を項目ごとに5段階で採点してもらい、会社説明会や採用選考で印象に残ったことやB社について感じていること、特に不安に思うことなどを分析し、その結果に基づいた内定者親睦会を企画した。内定者親睦会の内容は下記の通り。

外部講師による基調講演(メッセージ) 【テーマ】
  • 今年度の就職活動を振り返って
  • 会社で働くとはどういうことか
  • 日本における外食産業の存在価値
グループディスカッション 【テーマ】
  • これからの外食産業に求められること
  • B社は、どのような会社になればいいのか(何を強みとするのか)
立食パーティによる親睦会、質問対応 気軽な立食パーティー形式の下、社内のさまざまな立場の人と自由に話し合ってもらった。ネームプレートに仕事内容を記し、仕事や将来のキャリアについての疑問や迷いについてすぐに答えられるよう、配慮した。
工場見学・現場実習 仕事のプロセスを体感してもらい、入社後のギャップを軽減するために、工場見学・現場実習を行った。見学会の後には質疑応答の時間を設けたが、「仕事への理解が深まった」「相談できる仲間ができたことがとても良かった」など、好評の声が多かった。

このようなテーマ・内容を盛り込んだ内定者親睦会を実施した結果、内定辞退者が例年と比べて約70%減少。内定者フォロー施策では、限られた期間・人的パワーの中で、最大の効果を上げることが求められるが、このような内定者へのアンケートを活用するというアプローチは、大変理にかなったものと言えるだろう。

事例(3)集団フォローで「入社への決断」を強化する(メーカーC社)

●先輩社員を巻き込んだ質問会形式のフォローにより、効率的な運用を行う

イメージ大手メーカーC社は、内定者数が非常に多いため、効率的な内定者フォロー施策を行う必要性に迫られていた。そこで、内定を出した初期の段階で、入社への決意を強固なものとし、その後のフォローの効率化を狙っている。

具体的には、内定者全員を対象に、現場の社員を巻き込んだ質問会形式の内定者フォローを行っている。「価値観を言葉にする」「先輩社員への質問」「懇親会」という三つのセッションで構成されるプログラムを、半日かけて実施する。

価値観を言葉にする 価値観のキーワードを示したカードから、自分が大切にしている価値観を選択し、自分のやりがいの源泉を明らかにしてもらう。これを4~5人のグループメンバー内で共有し、自分のやりがいの源泉が会社でどのように実現できるかという観点で、先輩社員への質問項目を決める。
先輩社員への質問会 上記で用意した質問項目を基に、先輩社員にどんどん質問することで、会社や仕事への理解を深めてもらう。先輩社員は各グループに一人配置し、時間を区切って配置変更し、三つのグループで質問を受けてもらう。
懇親会 先輩社員と学生がバランスよく座るように、事前に席次を決めて親睦会を行う。内定者から先輩社員への質問だけではなく、内定者同士でも話し合うことで、相互の親睦を図る。

学生は大切にしている価値観を言葉にし、確認してから先輩社員に質問することで、自分と会社・仕事を結び付けて理解する。また、グループメンバーとの対話を通して理解の幅を広げ、考えを掘り下げていく。懇親会では和んだ雰囲気の中で気になった点を質問し、不安を払しょくすると同時に、社員の普段の姿や同期の様子を知ることによって、親交を深めていく。

自社に対する学生の志望度には“温度差”がある。志望度の低い学生を、高い学生が多いグループに組み入れれば、相互フォローによって志望度が高まることを期待できる。また、学生が疑問や不安を払しょくするためには広く情報を収集することが必要だと考え、先輩社員は部署・性別・年齢などが多様になるよう、人選している。

●基礎スキル習得のためのeラーニングで、入社に向けた安心感を与える

10月の内定式から翌年3月にかけて、内定者全員に、eラーニングを通じて企業の仕組みやビジネス知識・マナー、パソコンスキルなどを学ばせている。学習の進め方は本人の自主性に任せているが、進捗状況を定期的に確認し、遅い学生に対しては個別にフォローを実施。必須科目のほかに、外国語など選択科目も用意し、各自の興味・関心に合わせて科目を決めてもらっている。また、各科目が入社後にどのように役立つのかを示すため、先輩社員の体験と感想を、内定者用のWebサイトに掲載し、動機づけを図っている。

eラーニングはパソコンがあれば場所や時間を問わず学習できるので、学生からの評価は高い。会社・仕事への理解を深めると同時に、自社にケアされ(見守られ)ながら入社に向けた準備を行っているという安心感を、内定者に与えることもできる。C社では、掲示板などのコミュニケーションツールを内定者同士の連絡ツールとして活用し、相互理解の促進にも役立てている。

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