
コース開発第2部 宇山りみ子主幹、専任講師 津坂直子さんに聞く
「読む・書く・考える」基本能力を伸ばす
内定者向け通信教育「Newビジネス道コース」
近年、新卒採用担当者にとって、大学生の基本能力の低下が大きな悩みとなっている。ゆとり教育、あるいは電子メールやコピー&ペースト文化などの影響が指摘されているが、企業としては、採用したからには一日でも早く戦力化していかなくてはならない。そこで注目されるのが、内定段階から社会人になるための必要な知識を学び、「読む・書く・考える」といった基本能力を伸ばしていく通信教育「Newビジネス道コース」だ。同コースを開発した日本能率協会マネジメントセンターに、その詳しい内容を聞いた。
必要なテーマを自由に組み合わせてカリキュラムを編成
---まずは、内定者向け通信教育プログラム「Newビジネス道コース」の概要からお聞かせください。
越前屋:私どもは1980年代から、ビジネスマナーなどを中心とした内定者フォローのための通信教育をご提供していましたが、2000年代に入って少しすると、「学生の基本能力が低下している」という声を多くの企業からお聞きするようになりました。そこで、ビジネスの現場ですぐに必要になる「読む・書く・考える」といった能力を伸ばすことに重点を置き、2006年に内容を一新してリリースしたのが、現在の「Newビジネス道コース」です。
このコースは、まずテキストを読んで理解し、さらにレポートをまとめることで「読む・書く・考える」力が自然に身につくように設計されていることが特長です。通信教育のため、自分でスケジュールを決めて取り組む必要がありますが、それによって主体性が養われ、期限を守るというビジネスパーソンとしての基本も学ぶことができます。
「Newビジネス道コース」はリリース以来、企業規模や業種業態を問わず、幅広いお客様に内定者教育の定番コースとしてご利用いただいています。メーカーや流通・サービス業はもちろんのこと、特に近年は、これまで内定期間中には専門的な資格の取得などを最優先にしていた、IT、医薬、金融、不動産といった業界での導入が増えているのも特徴です。それだけ、専門知識に先立つ基本能力を重視する企業が増えているのだと思います。
これは通信教育の特徴ともいえますが、日本全国どこでも同品質の教育サービスをご提供できることが、多くの企業から高い評価を頂いている理由だと思います。また、最大で数百名から最少は1名まで、採用規模に関係なく利用できることも通信教育ならではの強みです。内定式後の10月にスタートするパターンや、入社直前の2月~3月に集中的に取り組んでもらうパターンなど、時期も自由に設定することが可能です。
---「Newビジネス道コース」のテーマ別テキストには、それぞれどのような特徴があるのですか。
宇山:テキストはテーマ別・職種別に8種類ご用意しています。自社の教育ニーズに応じて、自由な組み合わせでカリキュラムを編成することができます。基本は3ヵ月コースで、月に1テーマをこなしていくのが無理のないパターンですが、必要であればオプションを追加することもできます。
もっともベーシックな組み合わせは、社会人としての意識・態度を理解する「心」、ビジネスマナーなど仕事の基本スキルを身につける「技」、社会人生活の生活行動の基本を学ぶ「体」の3テーマ(心・技・体)のセットです。この他に、製造業、メーカーのものづくり現場向けの「造」、エンジニアのための「創」、流通業・小売業向けの「商」があります。また、昨年度の内定者向けから加わった最新の2テーマが、仕事をする上で絶対に必要なビジネス文書の書き方を身につける「書」と、会社に関わるお金の動きを理解する「財」です。
いずれも、仕事の基本に立ち戻ることのできる教材という位置づけで、入社後に行う新人研修のテキストとしてフォローアップのために活用されているケースも多数あります。新人研修用テキストを社内で作成されている企業も多いと思いますが、それぞれの企業独自の知識は別として、一般論ではこうした既存の教材をうまく利用することが、人事業務の効率化につながると考えています。そしてなによりも、内定時から一貫して同じ教材で繰り返し学習すること、すなわち「内定者教育をやりっぱなしにしない」ことが、基本の定着化には最も効果的といえます。
学生に「気づき」を与えるレポート添削サービス
---学んだ内容がしっかり身につくために、どのような工夫をされているのでしょうか。
津坂:「Newビジネス道コース」のテキストは、「読む・書く・考える」能力がトータルで養われるように、ワークシートやチェックリスト、レポートなど、「書き込む」要素を多く含んでいます。自分で文章を書くためには、テキストを読み込んで内容を理解し、自分なりのロジックで考えることが必要だからです。
レポートは1テーマに1回提出していただきます。個人差はありますが、1テーマを1時間程度で書ける分量にしてありますので、学生生活の負担になる量ではないと思います。もちろん、書きっぱなしにするのではなく、当社の専任指導講師が赤ペンで「気づき」を与える助言やフォローを書き込んで返却します。学生にとって、理解度を確認できるとともに、自分が書いたものをしっかり読んでもらえるということは大きな励みとなり、しっかり勉強しようという気持ちになるという効果があります。
この他、Newビジネス道コースによる内定者教育を総括する1日コースのスクーリング(公開コース)も、オプションでご用意しています。通信教育で身につけた知識を、実技とグループワークを通して実践につなげる内容で、私どもの積み上げてきた研修ノウハウを活かした、大変人気の高いプログラムです。
こうしたレポート添削サービスやスクーリングは、すべて私たちのような専任指導講師が行いますので、人事を担当されている方に業務的な負担がかからないのも特色です。内定者教育は必要だと思うが手が回らないというお悩みを持つ企業には、ぜひご活用いただきたいと思っています。
入社後の新人~若手教育にもシームレスに連動可能
---御社では、内定者教育を「若年次教育」の一環と位置づけて、総合的な教育サービスを提供されているとお聞きしました。
越前屋:「読む・書く・考える」という基本能力を伸ばすには、内定期間中の教育だけでは十分ではありません。さきほど宇山も申し上げたとおり、内定者教育を「やりっぱなしにしない」ためにも、少なくとも入社後3年程度は、体系的な若年次社員教育の中で常に振り返りながら、基本能力を定着させていくことが大切です。
私どもは、「入社3年間義務教育シリーズ」という若年次社員向けの教育プログラムをご提供しており、「Newビジネス道コース」からシームレスにつながる内容で学習をサポートしています。
先ほど津坂がご紹介したスクーリングはもちろん、入社後3年間に渡る通信教育プログラム「シゴトレ12STEP」や、集合研修、eラーニング、アセスメントなど、さまざまなプラグラムを各企業のニーズにあわせて効果的に組み合わせることができ、「Newビジネス道コース」を利用されている大半の企業において、これら弊社の若手社員教育プログラムを継続してご利用頂いております。
内定者教育、そして入社後の若年次社員教育は、人事を担当されている方の工夫次第で非常に大きな成果が見込め、当社でも多くの成功事例を集めています。教材の具体的な活用方法など、資料も豊富にご提供できますので、ぜひお気軽にご相談ください。
---大学生の気質が変化し、再び若手社員教育に力を入れる時代が来たという指摘もありますが、内定段階からの基本能力アップをめざす御社の考え方がとてもよく理解できました。本日は、ありがとうございました。

企業データ
社名 | 株式会社日本能率協会マネジメントセンター |
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本社所在地 | 〒105-8520 東京都港区東新橋1-9-2 汐留住友ビル24F |
事業内容 |
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設立 | 1991年8月8日(営業開始日1991年10月1日) |
代表者名 | 長谷川 隆 |
