「内定者フォロー」の歴史
内定者が入社するまでの期間、何らかの面倒を見るという意味での内定者フォローは、1970年代から存在した。ただし、教育は入社してから行うものと考えられていたので、基本的には内定辞退者を出さないためのフォローだった。そのため、景気がよくなり売り手市場になると力を入れるが、買い手市場になるとあまり力を入れなくなる傾向があった。
現在のような、きめ細かな内定者フォローが意識されるようになったのは、2000年代からである。00年代前半から中盤にかけて、IT産業が盛り上がったことや景気の持ち直しなどもあって、採用戦線は売り手市場に転じた。加えて、内々定の早期化やインターネットの普及、学生の意識変化など、新卒採用を最終的に成功させるためには、十分な内定者フォローが不可欠だと考えられる諸条件がそろってきたためだ。そして、00年代後半に入ると、内定者フォローから新人研修・育成へと続く流れを、シームレスなものと捉える考え方も出てきた。
現在の買い手市場といえる採用状況になっても、内定者フォローに取り組む企業が減少することはない。毎日コミュニケーションズが調査した「2011年卒マイコミ新卒内定状況調査」によれば、内定から入社までの期間、内定者とまったく接触しないという企業は5%未満。(図1)つまり、95%以上の企業は、何らかの形で内定者フォローを行っているのだ。
出所:「2011年卒マイコミ新卒内定状況調査」
一方、学生向けの「11年卒就職モニター調査」では、72.2%の学生が内定者フォローを受けたいと回答している。(図2)
出所:「2011年卒マイコミ新卒内定状況調査」
特に、自分と同じ「内定者」や、「先輩社員」「人事担当者」とのコミュニケーションの場を期待する声は多い。(図3)
出所:「2011年卒マイコミ新卒内定状況調査」