「内定者フォロー」の導入
新卒採用の最終段階として重要な内定者フォローだが、次年度の採用活動と並行して同じ人事スタッフが担当するのが一般的だ。そのため、なるべく手間をかけず、なおかつポイントをはずさず、行うことが求められる。
1)計画立案~目的を明確に
内定者フォローは、内々定を出した直後からスタートする。その段階で、まずは自社の内定者フォローのスタンスと入社までのイベントや研修のスケジュールを、内定者にしっかり伝えることが大切だ。そのため、内定者フォローの計画・準備は、内々定出しまでには完了していなくてはならない。
内定者フォローの計画を立てるにあたっては、まず目的を明確にする。直近の数年間の内定辞退者の発生率やその理由などに加えて、若手社員が内定期間にどう感じていたかなどのデータをもとにして、どこに重点を置くかを決めていく。
内定辞退者を出さず、入社に向けてのモチベーションアップを図るためには、情報提供による企業理解、既存社員との交流、内定者同士の交流、SNS活用などが効果的だ。入社前教育では、学習面に重きを置くのか、それとも内定者の不安解消に重きを置くのかなどを考えて、研修ツールを選定していく。
2)担当者を決める
内定者フォローは、採用活動に比べると、どうしても後回しになってしまいがちだ。しかし、本来は同じくらい重要な業務であることを、人事部内で再確認しておきたい。その上で実務の担当者を決め、何か異変などを感じた場合は、すぐに責任者に相談できる流れを作っておく。
内定者フォローは、最初に決めたスケジュールに沿って着実にこなしていくことが基本で、辞退者が出そうな場合などを除けば、それほど臨機応変な対応が求められるものではない。そのため、学生と年齢が近い若手スタッフが担当する企業が多いようだ。
担当者は約1年という長い期間、内定者に対しては会社の顔ともいうべき存在となる。コミュニケーション能力が高いほか、連絡業務などで文書を作成する機会が多いため、的確で分かりやすい文章を書くことができる人材が望ましい。
3)社内の協力体制づくり
既存社員との交流、OB・OG面談、アルバイト・インターンなどでは、人事部以外の部署から協力を得ることが必要になる。そのため、各部署の責任者に対して、内定者フォローへの協力をしっかり依頼しておくことが重要だ。特に内定者との交流では、たまたま手が空いていた人に任せるのではなく、内定者のモチベーションを高めるような、会社を代表できる人材が出て行かなければ意味がない。そういった人材は大抵、通常業務で忙しいため、事前に交渉して時間を空けてもらえるように依頼しておくことが重要だ。
4)予算管理
一般に内定者フォローの予算は、連絡費とイベント費、研修費などからなる。連絡を電話やメールで済ませる場合には、特に費用が発生しないと考えるかもしれない。しかし、内定者の人数が多い場合などは、電話をしている時間に人件費が発生していることも考慮しなくてはならない。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを導入すると、その費用は発生するが、人件費やパンフレットの郵送代などを総合的に考えるとSNSの方が安価である場合が多い。
また、イベントの場合は、会場費や飲食代などの他に、内定者に支給する交通費・宿泊費なども含まれる。研修費としては、eラーニングや通信教育の教材など。外部の講師を招いての講演会や勉強会では、その謝礼なども必要になる。
出所:「2011年卒マイコミ新卒内定状況調査」